Ryohei Tomono
STORYクリエイティブ

vol.44 一日一トライ

ものづくりと人づきあいが大好きな良平さんのこれまでとこれからのSTORY。

友人の結婚式でたまたま隣に座った彼が、今では仕事仲間に。その丁寧すぎる仕事ぶりや人当たりの良さには、いろんな色の秘密がありました

「打ち合わせをするときは、6割が無駄話、4割が仕事の話。くだらない引き出しがいっぱいですよー」

と笑う良平さんは、ウェブデザインをメインにフライヤーや名刺などのデザインをし、アニメーション、漫画を得意とするクリエイター。駅からお店までの地図のデザインをお願いすると現地へ行って確かめたり、お客様の疑問を調べて説明する資料まで用意したり。そこまでするー? なこともやってしまう彼。「名刺ひとつ、何十時間をかけられるわけではないけれど、それでもお客様の理解に時間をかけたい」という姿勢で、フリーランス歴15年の売れっ子です。

ものづくりを仕事にしたいと、高校卒業後に一年間の新聞配達で貯めたお金でデザインの専門学校へ。そこで出会ったのは小さな頃から絵が好き、美大卒なアーティストたち。そんな人たちと肩を並べるには仕事を請けながらスキルを伸ばすしかない、と学校を半年で辞め漫画家のアシスタントをはじめます。初仕事はなんと時給400円! 食べるために複数の仕事を掛け持ちし、友人からの依頼で作成したライブ用のフライヤーがある人の目に留まり、グラフィックデザイナーとしてのキャリアがスタート。

「あわびの養殖ができるデザイナー」という強烈な肩書きの持ち主ですが、その背景にあった高校時代の過酷な寮生活に絶句。海や釣りが好きで漁師に憧れた少年は、海に関することを学ぼうと水産高校へ入学。そこは素行不良な男子ばかりの暴力がまかり通る環境で、一週間に4時間しか眠れないほど精神的に追い詰められたことも。病院へ行くも「思春期にはよくあること」と片付けられ、自分でなんとかするしかないと考えた良平さんは、4名もの同級生が命を落とした事実にも苦しみます。「彼らを救えず自分が生き残ったことへの罪滅ぼし」としてメンタルが弱い人向けの自助会をするに至り、現在も活動中。人を助けようとする気持ちの強さが、まさかここにあったとは。

小さな頃から誰とでも友達になれる性格で、イベント運営も大好きな彼は「小中学校の運動会、合唱会、学級委員など、全学年で全部やった!」と誇らしげ。仕事とは関係ないところでの日常の人づきあいも多いんだとか。「家の前にあるコンビニの店員さんと仲良しで、その飲み会に唯一のお客さんとして参加してるんですよ」と聞いて大笑い。良平さん曰く「自分の知らないところで自分の知らないことを仕事にしている人の話を聞くのが面白い。それが巡り巡って自分の知識になって、力になっていく」と。仕事の依頼は完全に横のつながりから、というのにも納得です。

話題豊富でいつでも新しいことに取り組んでいる良平さんには、「一日一トライ」の習慣が。隣駅までの約一キロの散歩では毎回道のりを変えたり、企業との打ち合わせに毎回違うドーナツを持って行ったこともあったそう。フレッシュな空気を煮詰まった職場へ吹き込むことで、変わるきっかけになれるのが嬉しいと話します。プライベートでも、ものづくりに関するプロジェクトが進行中。家のリノベーションをしたいと電気工事士の勉強を始めたばかり。また、カフェにあるようなケーブルをしまえる仕事机もつくろうとやりたいことが山積みです。

出会った頃より力が抜けずいぶん楽しそうな理由を伺いました。

「20代前半は、どうやったら他の人に追いつけるかしか考えてなかった。漫画の仕事だと3-4日徹夜当たり前。こだわりがあると良いものをつくれるけれど生活に歪みがでる。生活が先かこだわりが先か。僕は生活を取る」

発達障害を持つ家族のケアやこれまで頭になかった恋愛も「人との良い関係性をつくりあげることが楽しい」と。今日もひとつ新しいことにトライして、くだらない(笑)話の引き出しを広げていることでしょう。


取材協力:友野良平さん(Ryohei Tomono)
撮影場所:横浜
東京都日野市在住。ウェブ・グラフィックデザイナー、アニメーター。

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オーストラリア・シドニー在住ブランドスタイリスト。グローバルに活躍する起業家のパーソナルブランディングを専門とする。書いた記事がキッカケで人生が飛躍する人たちが続出し、写真と文章で人を輝かせることが天職だと気づく。STORYは、Kimikoがこれまで出会った人生を楽しむ人たちを取材するライフワーク。
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