Asako Takada
STORY美容

vol.48 調和の中に自分の意見をもつ

世界を舞台にビジネスをする朝子さんの軌跡とこれからのSTORY。

彼女を形容するのに「麗しい」以上の言葉が見つからない。その生い立ちからこれまでには、日豪そして欧米の文化が融合していました。

「今でも、お手本はかっこいい母。母は自分の良さを知ってた大人の女性でした。50代でデニムを素敵に格好良く着こし、白シャツに赤い口紅で車を乗り回す。私の運転が男っぽいって言われるのは母譲りだからかも(笑) 」

と笑う朝子さん。遠目からもわかるその気品ある優雅さに魅了されるファンが多く、筆者が憧れる女性のひとりです。

鎌倉で生まれたことから、朝子という名前は鎌倉幕府の創設者である源頼朝(みなもとのよりとも)が由来なんだそう。建築家であった祖父が建てた極楽寺の家で、祖母を中心に大勢の親戚が常に集まる賑やかな環境に囲まれ、「みんなでご飯をつくってわいわいと、いつも笑いがあって話したら悩みも吹っ飛ぶ明るい大家族で育ったの」と話す朝子さんに、そのフレンドリーで気さくな気質が培われたバックグラウンドが見えた気がします。

人とのコミュニケーションが好きで語学や異文化を学ぶのが楽しく、これまで触れたきたのは英語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語。初めての海外生活はイタリア。父親の転勤で、小学2年生からの2年間をローマで暮らし、イギリス系インターナショナルスクールに通ったことで英語・イタリア語を習得。日本で高校卒業後に、英語を学ぼうと渡米しボストンへ。第2言語として履修したスペイン語は、大学の夏休み中にヨーロッパへの語学留学も。小さい頃から航空会社で働きたい、とオーストリア・ウィーンにある全日空に勤務し、職場で必要なドイツ語を独学する、という多くの欧米文化を吸収します。さらに、驚いたのが日本語教師の資格を保有するという事実。1998年に結婚を機にシドニーへ拠点を移し、日本の大学を卒業したオーストラリア人より日本語を教えて欲しいと依頼されたのがきっかけ。言葉の成り立ちやその背景にある文化をじっくり学んだことが、のちに大きな糧になります。

もともと好奇心旺盛な朝子さんは、ふと好奇心を掻き立てられやってみたら、思いも寄らない新たな展開へ繋がった、という経験を積み重ねます。その原点は、大好きだった祖母が、45歳から鎌倉彫をはじめ、亡くなる1週間前の96歳まで教え続けたのを側で見ていたこと。「人はやりたいことが見つかったら何歳からでもできる」を信じているからだという。

それが形になったのが、2017年に立ち上げたオーガニックスキンケアブランドの『Botanical Signature』。日本の知人からの依頼で、オーストラリアのオーガニック事情についてのリサーチをしていくうちに、アロマやアーユルヴェーダの知識を得ようと学び、スキンケアを手作りするようになったのがそもそものはじまり。知人からの「自分のブランドを作ったら?」という一言が、全く想像していなかった世界への扉を開く鍵になります。

オイルボトルの包装に、和紙を巻いたデザインでデビュー。以降、手筒花火と雪見障子をヒントにパッケージをデザインしたお茶シリーズなど、アート性豊かなプロダクツを次々と発表。伝統的な日本文化が色濃く残る鎌倉という地でアートに精通した家庭で育ち、欧州・米国・豪州での暮らしと、朝子さんの世界観が詰まったブランドが誕生しました。

「世界と肩を並べてやるならば、日本人ならではの伝統文化や思想をほんの少し融合して、パッケージや原料に和のエッセンスを入れる、というコンセプトに辿り着きました。今まで住んで体験したその国の文化を通して、自分の観た世界観をどうやって表現するか。フランス映画には結末がないように、使う人の想像をかきたてる表現に拘りたかったの。それは観た人の想像力に任せているのね。」

構想からブランドの立ち上げ、店舗展開、大手小売店への卸販売と、あっという間にビジネスが広がっていった過程には、当然のことながら乗り越えるべき困難なことも。10年間のうちに両親の他界などプライベートで辛い時期もあった朝子さんに、大変な状況に陥ったときの対処法を伺ってみました。

「どんなことでも必ずいつか抜け出せるから。考えても何も出てこないときは無理して答えを出さない。自分を信用するの」

と力強い。色々な世界での経験を蓄積しながら、各国の良いところや人の良いところを見るて年齢を重ねる今、賢い選択ができるようになってきたと。また、日本の美徳を尊重するも、時にはそれが海外で通用しないことを身を以て体感したことで、受け身で相手に合わせるだけじゃなく、調和の中に自分の意見を持ち、声をあげることが大切だとも話します。

良い音楽が流れ、気持ち良い空間で、家族や良い仲間といる、が朝子さんのライフスタイル。そんな暮らしの中、またふとしたきっかけで、新しい挑戦をされることでしょう。そういえば、香水を学びに2ヶ月間南仏へ渡ったことや、ご自身の店頭でスカウトされ俳優として活動されていることも、付け加えておきます。取材は一時帰国中の葉山で、イギリスへ留学中の娘さんとの家族時間を楽しまれているときでした。今後も朝子さんから目が離せません。


取材協力:高田朝子さん(Asako Takada)
撮影場所:シドニー
神奈川県鎌倉市出身。欧米暮らしののち1998年よりオーストラリア在住、一児の母。オーガニックスキンケアブランド『Botanical Signature』創設者。
https://www.botanicalsignature.com/

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オーストラリア・シドニー在住ブランドスタイリスト。グローバルに活躍する起業家のパーソナルブランディングを専門とする。書いた記事がキッカケで人生が飛躍する人たちが続出し、写真と文章で人を輝かせることが天職だと気づく。STORYは、Kimikoがこれまで出会った人生を楽しむ人たちを取材するライフワーク。
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