Hideo Nagamatsu
STORY美容

vol.9 楽しむとは

本屋プロデュース、セレクト雑貨販売、屋根の上での畑など、美容師という枠を超えて活動するHideさん。彼が言う「楽しむ」とは。

約4年ほど私のヘアデザインをお願いしているHideさんは、これから3ヶ月ほどどう過ごしますか?ブローはしますか?髪は耳にかけますか?と聞きながら、髪を通してその人のライフスタイルをデザインする美容師さんです。

このカウセリングスタイルになった大きなキッカケは、乳がんの治療で髪を失った女性から、日常生活に戻るためのカツラを任されたこと。これは、ヘアデザインを考えるだけの仕事ではないな、と。また、産後に今までのようなヘアセットが保てない女性のリアルな事情を見て、その人の日常にどれだけフィットさせられるかを考えるようになった、とHideさんは語ります。

そもそもなぜ美容師に?と聞くと、ほんと何でもなくて〜という前置き以上の答えが。

小学校の授業でなりたい職業を調べる課題で図書館へ行き、たまたま手に取った本が美容師だった、と笑う。そのまま、疑わずにその道へ進んだことの方が驚きですが(笑)

東京青山のサロンで3年間働いた後、自分の道を模索しようとやりたいこと全てをノートに書き出し、キャンドルを作ったりTシャツをプリントしてみたりと片っ端からやっていったそう。

23歳のHideさん、アプローチした先に一度断られても、何度もトライして足を運ぶと想いが伝わり協力してもらえるという体験を積み重ねます。また、閃きを即行動に移すことで、自分にとってのイエス・ノーがわかるように。

最後に残ったのが、海外に住むことと写真を撮ること。ふと昔の同級生が話していたオーストラリアの自転車旅行を思い出し、カメラを持って旅をしようと2006年にワーキングホリデーでシドニーへ。

楽しいことや新しいことをする上でやってくる壁やネガティブな情報を「試しの声」と呼び、乗り越えてみようと思うHideさんは、2014年に看板のない美容室を開き、3年後に2店舗目をオープン。

お店の屋根での畑、本屋プロデュース、セレクト雑貨の販売、イベントへの場所提供など、美容師という枠を超えて活動中。鳥肌が立つようなワクワク感を大切に、地球と自分に優しいライフスタイルを形にしていく、という軸は23歳当時と何も変わらない、と言います。

以前は自分を犠牲にしてでも誰かのためにやったり、自分がお店や世界を変えられると思っていたけど、大間違いでした(笑)まずは誰よりも自分が現状を楽しんじゃう。スタッフも楽しみ、その空間へやって来るお客さんの笑顔も生まれる。家で待つ家族や友達にもそれが広がる。そういうことじゃないかなと思うんです。


Hideさんが言う「楽しむ」は、家族やスタッフへの責任と覚悟が前提なのはいうまでもなく、腹をくくって楽しんでいる、と私は感じています。

毎朝7時くらいからビーチの砂や波や風を感じながら歩き、気分に任せて海に飛び込む。スタイリングを終えたお客さまを送り出したら、店先で太陽を額に浴びて深呼吸。髪のデザインをする、コーヒーを入れる、畑へ水をやる、子供と遊ぶ、など「今」を感じながら暮らすHideさんは、宇宙を感じるとても大きな流れの中で、ひたすら楽しそうでした。


取材協力:永松 秀夫さん(Hideo Nagamatsu)
撮影場所:Balmoral Beach & Neutral Bay
東京都世田谷区出身。ヘアサロン「Atelier by ReNCOUNTER」「Create by ReNCOUNTER」のオーナー。
http://rencounter.com.au/

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オーストラリア・シドニー在住ブランドスタイリスト。グローバルに活躍する起業家のパーソナルブランディングを専門とする。書いた記事がキッカケで人生が飛躍する人たちが続出し、写真と文章で人を輝かせることが天職だと気づく。STORYは、Kimikoがこれまで出会った人生を楽しむ人たちを取材するライフワーク。
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